『踊ってばかりの国』踊ってばかりの国

踊ってばかりの国、2年2ヶ月振りのフルアルバム。三作目にしてセルフタイトル。そしてこれまでに無い変化を感じられる作品になっている。

これまでの作品において感じられてきた、閉塞感にも似た陰鬱さを持った歌声はほんの少し晴れやかに、力強さを持って全面に出てきている。サウンド面でもディレイやリバーヴを用いず、ロックンロールやブルースを下敷きにしたシンプルな音を鳴らす。

結果、雑味が抜けたとでも言うべきか。全体的にある種持ち味だったサイケデリックな雰囲気は薄れる一方で、元々のメロディの良さや演奏力の高さ、音楽センスの良さが引き立つ作品となった。

また同時に変化の一つとして、「個人」の死生を反映していた彼らの目線の先が「社会」へと向いたことが挙げられる。

M-2“東京”の

「政治家のジジイが決めたことで また子どもが死ぬよ

難攻不落の民の声 お上には届かないよ」(M-2“東京”)

という一節などはその変化の最たる部分だろう。

 

 

セカイ系たる、直情的ながら工夫の無い日本の多くの若手ロックバンドとは明確に一線を画す存在として、踊ってばかりの国が別格であることを証明するような一枚。

彼らの最高傑作と言って然るべき名作だと思う。とにかく素晴らしい。


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『踊ってばかりの国』踊ってばかりの国
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