『ペンギン・ハイウェイ』 森見登美彦

幼少期の恋というものは、得てして不意のうちに霧のように散じてしまう。そんな淡い記憶と切ない思いをホンノリと感じさせてくれる作品。

いつもの森見節とも言える、ドタバタとしてコメディ要素は少なく、ファンタジックな側面が強く押し出された本作。『宵山万華鏡』はたまた『きつねのはなし』あたりに近しい触感ではあるが、それともまた一味違う、純粋性を多く孕んだ物語となっている。

正直、話の筋自体はいかがなものか、短絡的すぎるのではないか、と垣間過る感も否めないが、しかしテーマそのものがSFではなく、よりノスタルジックなものであった点において、個人的にはホッとさせられるものがあった。

そして、優しくもちょっと意地悪なお姉さんの、ミステリアスで柔らかくも儚い姿に、少なからず胸を打たれるのは確かである。

面白いか、面白くないか。何とも言い難い。

【概要】
街の外れの新興住宅街。

ある日の小学校への登校中。歯医者の隣の草っぱらに沢山のペンギンがいた。学校に着くと、教室の話題はもっぱらペンギンの話。ペンギンはその後、保健所かどこかの人に車で連れて行かれたが、車が目的に着き、荷台を見てみるとそのペンギンは霧のように消えてしまっていたらしい。

主人公である「ぼく」は、研究熱心な屈指の賢い小学生であると自負している。ぼくは歯医者のお姉さんが好きだ。ぼくは沢山の研究を抱え、そのペンギンの一件も研究の一つに加える。

沢山の研究の一つに、森を流れる川が一体どこから流れてきているのかを調べるものもある。この川は地図にも載っておらず、一体どこから流れてきているのか分からない。友人であるウチダ君と川の源泉を調べている。

ジャバウォックの森の中にある「海」について、ハマモトさんに教えてもらう。「海」は不思議な球体で、拡大と縮小を定期的に続けている。

歯医者のお姉さんは、コーラの缶を投げるとペンギンを作ることができる。お姉さんは、ペンギンを作ると元気が無くなる。ペンギンは何も食べなくても生きていけるが、街から離れようとすると元気が無くなり、缶になってしまう。ペンギンは海を壊してしまう。

ぼくとウチダ君とハマモトさんは、三人で「海」の研究を行う。ある日その研究がスズキ君帝国のスズキ君に見つかってしまう。

ぼくのお父さんは、ぼくに研究のポイントを教えてくれる。沢山の問題は、実は一つの問題なのかもしれない。ぼくは、お姉さんとペンギンの関係、ペンギンと海の関係、海と川の関係を一つの問題かもしれないと考えて研究に取り組む。

夏休みが終わり、二学期の最初の日、スズキ君は、これまで見たことの無いような生物、ジャバウォックを見つけて学校に連れてきた。ジャバウォックについて、沢山の学者やマスコミが騒ぎ立てることとなったため、その発見場所である森が封鎖されてしまう。

ある日、「海」がこれまでの規模を大きく超えて膨張し、街全体を飲み込もうと迫ってくる。ハマモトさんのお父さん達もその中に飲み込まれてしまい、どこかに消えてしまった。ぼくとウチダ君とハマモトさんは学校を抜け出し、お姉さんの元に走る。

うにゃうにゃ。

という話。

で、お姉さんは人類ではありませんでした。というオチはいかがなものか。

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『ペンギン・ハイウェイ』 森見登美彦
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